使用人兼務役員に対する給与等の税務上の取扱い
企業の経営基盤を支える者として、役員は欠かせない存在です。役員の中でも、会社組織において部長や課長といった職制上の地位と、常時使用人として実務に従事する方は使用人兼務役員に該当させることが出来ます。「役員」という立場でありながらも、「使用人」としての側面を併せ持つ使用人兼務役員ですが、通常の役員よりも税制上の恩恵を受けられることがあります。今回は、使用人兼務役員の取扱いについて説明します。
●使用人兼務役員は変動給与、賞与の支給が可能
通常の役員に対して支給する給与の額は以下に該当しない場合、法人税等の計算上損金の額に算入されません。(法人税法34条)
・定期同額給与(事業年度の各支給時期における支給額が同額である給与)
・事前確定届出給与(所定の時期に定めに基づいて確定した額を交付する給与)※1
※1 期限内に所定の届出書を提出する必要があります。
・業績連動給与(利益の状況を示す指標等に基づいて算定する給与)※2
※2 損金算入の対象となる業績連動給与は、主に大企業が対象で、同族会社においては非同族会社からの
完全支配関係があるものに限ります。
役員に対する上記以外の給与は、企業の意図的な利益の調整を防ぐため、法人税法上、大多数の中小企業に所属する役員に対しての変動給与や賞与は損金算入が認められませんが、使用人兼務役員は上記の給与支給に縛られず、使用人分としての適正な金額による給与(変動給与含む)や賞与については損金算入が認められます。
そのため、通常の役員と比較して給与の支給について柔軟性が高いといえます。
●使用人分の給与はどこまで支払えるのか?
使用人兼務役員であれば、使用人分の給与の増減は可能ですが、その支給額が適正なものであるかを判断しなければなりません。
この使用人分としての給与及び賞与の適正な金額をどのように判断するかについては、その使用人兼務役員が従事している職務と、同等の役職である使用人の給与及び賞与の金額が参考となります。
●使用人兼務役員になれない役員
使用人兼務役員であったとしても、以下の者は、使用人兼務役員にはなれません。(法人税法施行令71条)
・代表取締役、代表執行役、代表理事および清算人
・副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
・合名会社、合資会社および合同会社の業務執行社員
・取締役(委員会設置会社の取締役に限ります。)、会計参与および監査役ならびに監事
・同族会社の役員のうち、株主グループの有する株式や出資の所有割合の一定の要件を満たす役員
同族会社の株式、出資等の所有割合についての細かな分類については割愛させて頂きますが、使用人兼務役員の判定基準は「使用人」としての立場を越えていないかが重要です。
また、同族会社の使用人のうち税務上みなし役員とされる者も使用人兼務役員とは認められません。
注:ただし、取り上げた使用人兼務役員はあくまで法人税法施行令上の解釈であり、会社法上の解釈とは異なる可能性があります。
使用人兼務役員と通常の役員との違いについて説明させていただきました。経営だけでなく、実務部分での視点を備えたポジションである「使用人兼務役員」を起用する企業も増えてきています。
弊事務所では実務対応や留意点のご相談を承っておりますので、ご検討される企業様はお気軽にご相談ください。
作成者 萩原
●使用人兼務役員は変動給与、賞与の支給が可能
通常の役員に対して支給する給与の額は以下に該当しない場合、法人税等の計算上損金の額に算入されません。(法人税法34条)
・定期同額給与(事業年度の各支給時期における支給額が同額である給与)
・事前確定届出給与(所定の時期に定めに基づいて確定した額を交付する給与)※1
※1 期限内に所定の届出書を提出する必要があります。
・業績連動給与(利益の状況を示す指標等に基づいて算定する給与)※2
※2 損金算入の対象となる業績連動給与は、主に大企業が対象で、同族会社においては非同族会社からの
完全支配関係があるものに限ります。
役員に対する上記以外の給与は、企業の意図的な利益の調整を防ぐため、法人税法上、大多数の中小企業に所属する役員に対しての変動給与や賞与は損金算入が認められませんが、使用人兼務役員は上記の給与支給に縛られず、使用人分としての適正な金額による給与(変動給与含む)や賞与については損金算入が認められます。
そのため、通常の役員と比較して給与の支給について柔軟性が高いといえます。
●使用人分の給与はどこまで支払えるのか?
使用人兼務役員であれば、使用人分の給与の増減は可能ですが、その支給額が適正なものであるかを判断しなければなりません。
この使用人分としての給与及び賞与の適正な金額をどのように判断するかについては、その使用人兼務役員が従事している職務と、同等の役職である使用人の給与及び賞与の金額が参考となります。
●使用人兼務役員になれない役員
使用人兼務役員であったとしても、以下の者は、使用人兼務役員にはなれません。(法人税法施行令71条)
・代表取締役、代表執行役、代表理事および清算人
・副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
・合名会社、合資会社および合同会社の業務執行社員
・取締役(委員会設置会社の取締役に限ります。)、会計参与および監査役ならびに監事
・同族会社の役員のうち、株主グループの有する株式や出資の所有割合の一定の要件を満たす役員
同族会社の株式、出資等の所有割合についての細かな分類については割愛させて頂きますが、使用人兼務役員の判定基準は「使用人」としての立場を越えていないかが重要です。
また、同族会社の使用人のうち税務上みなし役員とされる者も使用人兼務役員とは認められません。
注:ただし、取り上げた使用人兼務役員はあくまで法人税法施行令上の解釈であり、会社法上の解釈とは異なる可能性があります。
使用人兼務役員と通常の役員との違いについて説明させていただきました。経営だけでなく、実務部分での視点を備えたポジションである「使用人兼務役員」を起用する企業も増えてきています。
弊事務所では実務対応や留意点のご相談を承っておりますので、ご検討される企業様はお気軽にご相談ください。
作成者 萩原