税務関係情報

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2025-07-31

2025年度税制改正での経営力向上計画の変更点について

 「経営力向上計画」とは、中小企業経営強化税制に基づき、人材育成や設備投資など自社の経営力向上に資する取り組みについて、主務大臣の認定を受けることで、税制優遇や金融支援を受けられる国の制度です。2025年度税制改正では、2026年度末(2027年3月31日)まで2年間の適用期限延長が決定されましたが、制度の詳細についてはいくつか改正もなされています。ここでは、そのなかで最もオーソドックスな生産性向上設備にまつわる類型(A類型)を中心に、改正点を確認します。

●生産性向上要件の指標変更
 中小企業経営強化税制A類型において、設備投資を行ったことによる税制措置を受ける場合、導入する設備の生産性が旧モデル比で平均1%以上向上していることが要件とされ、それを示す工業会等の証明書の提出が必要になります。今回の改正では、この生産性向上要件の指標が変更され、生産効率・精度・エネルギー効率等といった旧指標から、単位時間当たり生産量・歩留まり率・投入コスト削減率という新指標によって判定されることとなりました。このため、2025年4月1日以降に申請する計画においては、旧指標に基づいて発行された証明書は使用できず、改めて新指標に基づき審査のうえ、新たに証明書の発行を受ける必要があります。これまで制度の対象となっていた設備が対象から外れることもあり得ますので、詳しくはメーカーや販売業者を通じて、各工業会等に確認をとると良いでしょう。

●その他の留意事項
 その他の主だった変更点としては、これまで特例として、工業会証明書等の申請手続きと並行して、計画認定に係る所管省庁による審査を同時に受けることが認められていましたが(いわゆる「柔軟な取り扱い」)、今回の改正で終了となります。一方で、経営力向上計画申請前に設備を取得する場合、申請書到達日から遡って60日以内に設備を取得していればよいとする例外規定は引き続き有効ですので(いわゆる「60日ルール」)、申請期限内であれば、証明書の発行を待って計画を提出することも可能です。また、暗号資産マイニング業に供する設備は、制度の対象外となります。

 詳しくは、幣社をはじめ、中小企業の課題解決に向けて専門的支援を行う認定経営革新等支援機関にお問い合わせください。

                                              作成者:根津