税務関係情報

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2025-07-01

新リース会計基準と税務処理

 企業会計基準委員会は、2026年9月に全てのリースの借手側がオンバランスすることを定めた新リース会計基準を公表しました。以下に、新リース会計基準の内容と借手側の会計処理、そして税務上の処理について簡単に説明します。


●新リース会計基準の適用対象者と適用開始時期
 新リース会計基準の適用対象者ですが、上場会社は強制適用となり、未上場会社(大企業)は事実上の強制適用、それ以外の未上場会社(中小企業)は任意適用となります。そのため、多くの法人では従来通りの会計処理のままでも問題はありません。適用開始時期は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首からとなります。


●借手側の会計処理
 借手の会計処理については、原則、ファイナンス・リースもオペレーティング・リースも「使用権資産」と「リース負債」を貸借対照表に計上し、使用権資産に係る減価償却費とリース負債に係る利息相当額を費用計上することになります。具体的には、リース開始日にリース料総額の現在価値で使用権資産及びリース負債を計上し、利息相当額は各事業年度に配分し、使用権資産の減価償却費を計上します。
但し、使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合は、①リース料総額を使用権資産・リース負債に計上する総額法、②利息費用を定額で計上する利息定額法を採用することができます。また、リース期間が12か月以内の短期リースに該当する場合や、重要性が乏しい減価償却資産を購入時に費用処理する方法を採用していて、リース料総額がその購入時に費用処理する基準額以下のような少額リースに該当する場合は、オンバランスの必要はなく、定額の費用計上が認められます。


●税務上の処理
 2027年度税制改正では、法人税法において、オペレーティング・リース取引を「資産の賃貸借でリース取引以外のもの(賃貸借取引)」と定義しており、同リースの契約に基づく支払金額のうち、債務確定部分は各事業年度の損金の額に算入されることになります。そのため、非上場会社においては、税務上の取り扱いも従来と変わりません。一方、ファイナンス・リースは会計上も税務上も売買処理を行うことから、基本的には両方の処理は一致することになります。但し、所有権移転外リースについては、会計上は「使用権資産」で計上し、定額法で減価償却費を計算する一方、税務上はリース期間定額法で減価償却限度額を算出することから、場合によっては申告調整をしなければならない状況が生じ得るかもしれません。


                                            作成者 屶網