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2025-04-04

生命保険の契約者変更時に生じる相続税・贈与税の課税関係には要注意

 生命保険は、契約形態によって一定額まで相続税が非課税になるなど、さまざまな場面で相続対策に利用できます。しかし、誰を保険金の受取人に指定するかなどの選択を誤ると、意図した結果にならない場合があります。
 なかでも保険金の支払事由が発生する前に契約者を変更した場合には、契約者を変更した時点では課税関係は生じないものの、満期時に課税対象となるケースがあるので、その事例を紹介します。



●契約者変更後の課税関係(贈与税に留意が必要)
 父から子へ保険の契約者(保険料の負担者)を変更する場合を考えてみましょう。契約の変更時には課税関係は発生しませんが、保険金の満期受取の際には、下図で表す課税関係が生じます。
 例の場合、契約者の変更によって、父が負担していた保険料500万円に対応する保険金受取部分は贈与税の課税対象となります。そのため、この点に留意しないと贈与税の申告漏れにつながる可能性があります。
 この場合、契約者を父から変更せず、受取人を子から父に変更すると、父の所得税の課税対象となりますので、贈与税の課税対象にはあたりません。


●満期前に父が死亡した場合の課税関係(相続税に留意が必要)
 保険の契約者である父が死亡し、子が保険の契約を相続した場合、死亡した時点においての相続税の課税関係が発生します。保険の支払事由が発生していない下図の場合、相続税の課税対象は「保険契約に関する権利」であることを認識していないと、相続税の申告漏れにつながる可能性があります。この場合、解約返戻金相当額が相続税の課税対象になります。
 その後、満期時に受取った保険金は所得税の課税対象になります。この場合、収入を得るために支出した父の負担分の保険料500万円と子の負担分の保険料300万円分を差し引くことができるので、200万円が一時所得の課税対象となります。



 今回、事例を用いて説明しましたが、保険の契約者や保険料負担者、保険の受取人や支払事由などで課税関係は変わってきます。
 契約者を変更する際には、ご契約されている保険会社から情報をもらうなどして、課税関係を整理しておくことが必要になるでしょう。

                                              作成者 金城