税務関係情報

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2024-08-23

加算税制度の見直し(高額な無申告に対する無申告加算税の割合の引上げ)を解説

 期限内での申告を怠った場合に、本来納めるべき税金(本税)に加えて納める税金を無申告加算税といいます。
社会通念に照らして申告義務を認識していなかったとは言いがたい規模の高額無申告について、この無申告加算税の割合が引き上げられました(なお、期限内に申告する意思を示したうえで期限後1ヶ月以内に納税した場合、無申告加算税の金額が5,000円未満の場合、その他正当な理由がある場合には、納付が免除される場合もあります)。



●改正前の無申告加算税
 従来、法定申告期限後に申告書の提出や決定等があった場合には、納税者に対し、その申告、更正又は決定等に基づいて納付すべき税額に20%(増差税額が50万円以下の部分は15%)の割合を乗じて計算した金額を無申告加算税として課すこととされていました。

●改正後の無申告加算税
 申告納税制度の根幹を揺るがす重大な違反である無申告行為のうち、善良な納税者の公平感を特に損なうおそれのあるものを未然に抑止する観点から、社会通念に照らして申告義務を認識していなかったとは言いがたい規模の高額な無申告について、2024年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税より、改正前の無申告加算税の分に加え、増差税額が300万円を超える部分に対しては無申告加算税の割合を30%に引き上げることとされました。

 この改正により、仮に期限後申告により確定した本税が500万円であった場合、従来では500万円のうち50万円に対して15%の75,000円、残りの450万円に対しては20%の900,000円で合計975,000円の無申告加算税が課されたのに対し、2024年1月1日以降は500万円のうち50万円に対して15%の75,000円、250万円に対して20%の500,000円、そして残りの200万円に対しては30%の600,000円で合計1,175,000円の無申告加算税となり、改正前と較べて納税額は20万円の増額となります。



 ただし、この30%部分に関しては、高額無申告を発生させたことについて納税者の責めに帰すべき事由がない場合(例えば、相続税事案で相続人が一定の確認をしたにもかかわらず、他の相続人の財産が事後的に発覚した場合等、本人に帰責性がない場合)には適用しないこととなっており、その場合については従来通り20%が適用されます。

 なお、期限後申告の場合は加算税以外にも、本税納付完了までの日数に対し延滞税も発生しますので、必ず期限内に申告納税しましょう。

                                              作成者 村田