2023-05-11

高額特定資産の取得の時はご注意を!

 消費税法では課税時期の基準期間の課税売上高に応じて、納税義務の免除や簡易課税制度の選択適用を受けることができますが、高額特定資産の取得をした課税事業者の場合にはこれらの制度の適用が一時的に制限されます。


●高額特定資産とは?
 一の取引の単位につき、課税仕入対象となる支払対価の金額が税抜きで1,000万円以上の棚卸資産および調整対象固定資産のことをいいます。
この調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物およびその附属設備、構築物、機械および装置、船舶、航空機、車両および運搬具、工具、器具および備品、鉱業権その他の資産で、一の取引単位の価額(消費税および地方消費税に相当する額を除いた価額)が100万円以上のものをいいます。

●高額特定資産の取得による制限とは?
 事業者が、事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を受けない課税期間(原則課税方式の適用期間)中に、高額特定資産の課税仕入れ等を行った場合、その高額特定資産の仕入れ等をした日の属する課税期間の翌課税期間、翌々課税期間においては、事業者免税点制度の適用はありません。
また、その高額特定仕入資産の仕入れ等をした日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間は、簡易課税制度選択届出書の提出が認められません。
●高額特定資産の取得による課税の影響
 高額特定資産の取得により仕入税額控除が多額になることで、消費税等の還付又は納税額の減額を見込むことができます。そのため、通常、免税事業者や簡易課税制度選択事業者の方が高額特定資産の購入を予定している場合には、事前に計画の上、本則課税方式を選択するのも一つの方法です。
 しかしながら、高額特定資産の取得によって翌課税期間、翌々課税期間で本則課税方式が強制適用された結果、納税額が増えてしまう可能性もあります。免税、簡易課税制度の選択可能な事業者が節税として選んだはずが仇になる、といったことにならないよう十分検討の上、課税方法を選択する必要があります。


                                              作成者 萩原