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2022-09-07

タックスヘイブンとは税金天国?|税理士法人 宮田会計|石川県金沢市 会計事務所

 某有名キャラクターのグッズ販売やそれに関連したテーマパークも運営している企業が、東京国税局の調査により追徴課税13億円の課税処分を受け、全額納税の上、法的手続きを取る旨の報道がありました。
なお、同企業は平成17年にも香港の子会社について同じ課税処分を受け、追徴税額11億円を納付の上、現在係争中とのことですが、この国税当局が同企業に行った課税処分とは・・・それはタックスヘイブン対策税制です。
では、タックスヘイブン対策税制とはどのような制度でしょうか。以下に簡単にまとめてみました。
 
●タックスヘイブンとは
 タックスヘイブン(Tax haven)とは、「軽課税国」のことをいい、課税が生じない、またはかなり税負担が軽い国等を言います。タックスヘブン(Tax heaven:税金天国)ではありません!
 

●適用されるとどうなるのか
 タックスヘイブンにある一定の要件を充たした子会社の所得を日本の親会社の所得に合算し、合算後の日本の親会社の所得金額に税金が課されます。
 
●適用の流れ・要件
(1)親会社等の内国法人が議決権等の50%超を支配する外国関係会社を有している。
(2)外国関係会社がタックスヘイブン国で課される租税負担割合が30%未満でペーパーカンパニー等(ほかには、キャッシュボックスに該当する、ブラックリスト国に所在する)に該当する場合は会社単位での合算適用となる。
(3)上記(2)に該当しない場合、租税負担割合が20%未満で4つの経済活動基準(事業基準、実体基準、管理支配基準、所在地国基準又は非関連者基準)のいずれか満たしていない場合は会社単位での合算適用となる。
(4)上記(3)の4つの経済活動基準を全て満たす場合、一定の特定所得(①配当等、②利子等、③有価証券の貸付け、④有価証券の譲渡、⑤その他の金融所得、⑥有形固定資産の貸付け、無形資産等の使用料など)があれば、これらの所得のみが合算適用となる。
 
上記からわかるように、タックスヘイブン対策税制は言葉も対象となるか否かの判定も計算過程もかなり複雑困難な税制ですが、軽課税国にある外国子会社を利用した国際的租税回避に対処するための税制であり、とても重要な制度です。
                                              作成者:屶網