税務関係情報

一覧にもどる

2022-03-25

中小企業所得拡大促進税制の改正

●令和3年度改正の「中小企業所得拡大促進税制」の概要
 当該制度は令和3年4月1日~令和5年3月31日までの間に開始する事業年度が対象となります。
 制度の適用要件と、その要件に応じた税額控除は以下の通りになります。
                 
  《基本》  適用要件:雇用者給与等支給額が対前年比1.5%以上増加
        税額控除:控除対象雇用者給与等支給増加分の15%を税額控除(法人税・所得税)
  《上乗せ》 適用要件:雇用者給与等支給額が対前年比2.5%以上増加と次の①又は②を満たす
         (①教育関連費が対前年比で10%以上増加
          ②適用年度終了日までに経営力向上計画の認定を受け、計画に基づいた経営力向上の実証)
        税額控除:控除対象雇用者給与等支給増加分の25%を税額控除(法人税・所得税)
●旧制度からの主な変更点
 旧制度では、雇用者給与等支給額の増加に加え、継続雇用者(適用年度の前期期首から適用年度の期末までの期間全ての月で給与等の支給を受けた従業員)給与等支給額が対前年比1.5%以上増加していることも適用要件の1つでしたが、この改正で継続雇用者要件の撤廃での適用要件緩和により、旧制度の要件下では適用できなかった個人事業主や法人も適用できる可能性が高くなります。(納付すべき所得税や法人税が生じていることが前提です。)
●令和4年度改正(案)の内容
 現在(令和4年3月25日)、国会で審議中の中小企業所得拡大促進税制では、上記の適用期限を更に1年延長(適用対象期間は令和4年4月1日~令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度)するとともに、税額控除の上乗せ措置を拡充させる内容となっています。
 具体的には、上記の《基本》記載の控除率は15%で変わりませんが、適用要件に記載の雇用者給与等支給額が前年比で2.5%以上増加した場合は15%の控除率、また教育訓練費が対前年度比で10%以上増加した場合(なお、上記①は明細書の保存に改正予定、②は廃止予定)には、10%の控除率の上乗せで最大40%の控除率の適用となる予定です。(注:いずれの制度も控除上限額は所得税額又は法人税額の20%です。)