税務関係情報

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2021-12-22

電子帳簿保存法の改正と留意点

経済社会のデジタル化を踏まえて、経理の電子化による生産性の向上、記帳水準の向上等に資するため、電子帳簿保存法が令和3年に改正されました。

● 電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、所得税法や法人税法等の税法で原則、紙での保存が義務付けられている帳簿書類などについて、一定の要件を満たした上で、電子データによる保存を可能とすることや電子的に授受した取引情報の保存義務等を定めた法律です。
この法律を大別すると①電子帳簿保存制度、②スキャナ保存制度、③電子取引制度の3つに区分され、①はパソコンで自身が作成した帳簿書類を電子保存の対象とするもの、②及び③は取引で生じる請求書等の書類を電子保存の対象とするものです。

● 任意規定と強制規定
上記①と②は一定の要件を満たせば電子保存しても良いという任意規定のため、帳簿の電子保存や請求書等の書類のスキャナ保存をせず、従来通り紙で保存しても問題ありません。一方、③の電子取引制度は一定要件を満たして電子データとして保存するよう義務付けた制度なので電子取引を行っている個人事業主及び法人は必ず対応しなければなりません。

● 電子取引制度の留意点
この法律で電子保存しなければならないものは電子でやりとりした電子書類等です。したがって、従来通り紙でやりとりしている請求書等の書類については、この制度の対象外なので従来通りで問題なく、紙を電子データに変換し電子保存する必要もありません。なお、電子取引データの保存に当たっては①タイムスタンプ付与や履歴が残る等のシステム導入以外にも改ざん防止のための事務処理規定を定める方法も認められること、②専用システムを導入していなくても表計算ソフト等で索引簿を作成する方法や規則的なファイル名を設定する方法でも認められることから専用ソフトの購入やシステムの導入をしなければならないわけではありません。

なお、事業者の対応状況を踏まえ、電子取引保存については2年間の経過措置が設けられる見通しとなっています。