税務関係情報

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2017-10-06

所得拡大促進税制の改正

平成29年度税制改正において、賃上げを実施した事業者の減税を内容とする「所得拡大促進税制」の見直しが行われました。前期より2%以上賃上げを行った事業者に税額控除の上乗せを認めるとともに、大企業についてはその2%以上の賃上げが適用要件となりました。この改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において適用されます。

所得拡大促進税制の概要
所得拡大促進税制は、青色申告書を提出している法人又は個人事業者が下記①~③の全ての要件を満たした場合、基準年度(注1)からの給与(注2)の増加額の一定割合を法人税額又は所得税額から控除できる制度です。本制度は平成30年3月31日までに開始する事業年度までが対象となります。なお、以下では法人に関する内容を記載致します。
(注1)3月~11月決算の法人は平成24年度、12月~2月決算の法人は平成25年度が基準年度となります。また、個人事業者は平成25年が基準年度となります。
(注2)本税制における給与には、役員及びその親族等への給与は含まれません。


【税額控除限度額】(改正後:平成29年4月1日以後開始事業年度)
①適用年度の給与総額が基準年度の給与総額に対して一定割合(中小企業は3%、大企業は5%(注3))以上増加していること
②適用年度の給与総額が前年度を上回ること
③適用年度の給与の平均金額が、前年度を上回る(大企業は2%以上増える)こと
(注3)中小企業とは資本金1億円以下の企業を、大企業とは同1億円超の企業を指します。


【適用要件】(改正後:平成29年4月1日以後開始事業年度)
(適用年度の給与総額-基準年度の給与総額)×10% + 以下の上乗せ金額
・中小企業… (適用年度の給与総額-前年度の給与総額)×12%
       ただし、【適用要件】③について2%以上の増加である場合に限る。
・大企業… (適用年度の給与総額-前年度の給与総額)×2%
(注4)上記の税額控除限度額が法人税額の20%(大企業は10%)を超える場合、法人税額の20%(大企業は10%)が限度となります。


改正事項の概要
中小企業については、【適用要件】③について2%以上の増加である場合、前年度からの給与増加額の12%を上乗せして税額控除できることとなりました(控除限度額の拡大)。給与総額が基準年度<前年度<適用年度と増加している場合には、前年度と基準年度の差額については10%、適用年度と前年度の差額については22%の税額控除となります。
<改正前><改正後>
【税額控除限度額】
(適用年度の給与総額-基準年度の給与総額)×10%
【税額控除限度額】
改正前の税額控除限度額に(適用年度の給与総額-前年度の給与総額)×12%を上乗せした金額ただし、上乗せは【適用要件】③について2%以上の増加である場合に限る。


大企業については、【適用要件】③が「2%以上の増加」となる(適用要件の厳格化)とともに、前年度からの給与増加額の2%を上乗せして税額控除できることとなりました(控除限度額の拡大)。給与総額が基準年度<前年度<適用年度と増加している場合には、前年度と基準年度の差額については10%、適用年度と前年度の差額については12%の税額控除となります。
<改正前><改正後>
【適用要件】③
適用年度の給与の平均金額が、前年度を上回ること
【適用要件】③
適用年度の給与の平均金額が、前年度より2%以上増加すること
<改正前><改正後>
【税額控除限度額】
(適用年度の給与総額-基準年度の給与総額)×10%
【税額控除限度額】
改正前の税額控除限度額に(適用年度の給与総額-前年度の給与総額)×2%を上乗せした金額

以下に改正のポイントを図解した資料のリンクを掲載致しますので、ご参照ください。


<リンク>
改正のポイント(PDF)
パンフレット「所得拡大促進税制ご利用ガイドブック」(平成29年4月以降に始まる事業年度から)より抜粋